

フィラリア予防って毎年やる必要あるの?事前の検査は必要なの?
こんな疑問を解決していきます。
フィラリア症とは
フィラリア症(犬糸状虫症)とは、フィラリア(犬糸状虫)という寄生虫に感染する寄生虫症です。
蚊に刺されることによって感染し、体内に入った幼虫(ミクロフィラリア)は脱皮を繰り返し、皮下や筋肉内で成長します。その後、体内を移動し、肺動脈や右心室に寄生します。6~7カ月で30cmほどの成虫になり、多数の幼虫を産み増殖します。

感染当初は無症状ですが、数年してから症状が出てくることが多いです。
フィラリアの成虫は肺動脈や心臓に寄生するため、血液循環障害を起こします。例えば、散歩中にとても疲れやすくなったり、咳をしたり元気がなくなったりします。さらに症状が進行すると、腹水、浮腫、血尿や貧血、呼吸困難などの急性症状が現れ、急死する危険性もあります。
犬での感染が有名ですが、猫にも感染します。猫では犬より重症になることは少ないですが、呼吸困難やけいれんを起こして死亡する可能性もあります。
また、人にもまれに感染し、100例以上の報告があります。人では無症状のことが多いですが、腫瘤ができることがあります。

予防法
フィラリア症は薬をあげることでほぼ100%予防できます。
フィラリアの薬は体内に入ったフィラリアの幼虫を駆虫する薬です。飲むことで蚊に刺されにくくなったり、フィラリアに感染しなくなったりする薬ではないので、継続した投薬が必要です。
また、フィラリアの成虫に予防薬は効きません。成虫に予防薬は効きませんが、その成虫から生まれてきた幼虫には効きます。成虫が体内にいる状態で投薬すると生まれてきた幼虫が大量に死滅し毛細血管に詰まったり、アナフィラキシーショックを起こしたりして死に至る場合があります。成虫が体内にいる時には薬をあげないようにしましょう。
今では予防している飼い主さんが多いので死亡率は下がりましたが、過去にフィラリア症が犬の死因第1位だったほどの病気でした。


予防期間
薬をあげる期間は蚊が出始めた1ヶ月後~蚊がいなくなった1ヶ月後までです。
幼虫は数日かけて成長します。
フィラリアの薬は感染してから2カ月頃までの幼虫にしか効きません。蚊がいなくなる直前に感染した幼虫を駆虫するためには、蚊がいなくなっても1カ月後までは予防が必要となります。最近は気温が高くなり蚊がいる期間が長いため、予防期間が昔に比べて長くなっています。

薬をあげる前の検査は必要なの?
フィラリアの薬をあげる前の検査、「お金もかかるし、本当に必要なの?」と思いますよね。
気持ちは分かりますが、検査は毎年行ったほうがいいです。
先ほども説明しましたが、フィラリアに感染した状態で投薬をすると、死滅した幼虫が毛細血管に詰まったり、アナフィラキシーショックを起こしたりして死に至る場合があります。温暖化が進んでいる現代、冬でも蚊がいることもあります。できるだけ、リスクは取り除いてあげたほうがいいでしょう。
もちろん、通年で薬を飲んでいる場合は検査をしなくても問題ありません。
予防薬の種類
フィラリア予防の薬には「注射タイプ」と「飲み薬タイプ」があります。
注射タイプは1度注射すれば1年間効くので、年に1度の接種で済みます。ただし、体内に直接薬剤を注入するので副作用の心配があります。人の予防接種と同じです。また、飲み薬に比べ値段が高めです。
飲み薬タイプは、1ヶ月に1度あげる必要があります。薬をあげる日を覚えておかないといけないので多少手間がかかります。また、薬を食べてくれないと意味がありません。今はほとんどがおやつ感覚で食べられるチュアブルタイプのものなので喜んで食べる子が多いですが、好き嫌いの多い子では少し難しいかもしれません。
まとめ:なにより予防が大切!
フィラリア症は予防が大切です。蚊が出てくる期間は予防をしましょう。
予防期間:蚊が出始めた1ヶ月後~蚊がいなくなった1ヶ月後まで。通年の予防でもOK。
予防対象:ミクロフィラリア(幼虫)
予防薬:注射または飲み薬
大切な家族の命を守るためにもお薬は忘れずにあげたいですね。