犬用ちゅーるには普通のお店で売っている市販用と動物病院用があります。
病院用とは言っても動物病院以外でも買うことができます。
それでは病院用のちゅーると普通に売っているちゅーるは何が違うのでしょうか?
その違いは成分や用途の違いです。
病院用ちゅーるにはどんなものがあるのか、どこで買うことができるのかまとめていきます。
ちゅーるは大きく分けて2種類ある
ちゅーるは大きく分けてペットショップやスーパーなどで売っている市販用と動物病院で売っている病院用の2種類があります。
市販用は、スティック状のちゅーるからカップに入っているものまで形も大きさもさまざまで多くの種類があります。
参考:犬用ちゅーるの種類と選び方
その一方で、病院用ちゅーるは現在3種類のみ。
動物病院やネット上でしか売っておらず、いなばペットフードの公式サイトにも記載がありません。
犬用ちゅーる病院用と市販用の違い
病院用と市販用のちゅーるは成分や用途の違いです。
病院用ちゅーるは持病があって普通のちゅーるを食べられない子に向いています。
たとえば、腎臓が悪い子はリンやナトリウムの摂取量を抑える必要があります。
ごはんはもちろんおやつも食べれるものが限られてきます。
そんな子でも、病院用の低リン・低ナトリウムのエネルギーちゅーるなら食べれることがあります。
ほかにも、病院用のちゅーるの中で1番人気がある「投薬用ちゅーる」は投薬が苦手な子にぴったりのちゅーるです。
動物病院にあると役に立つちゅーるですね。
病院用ちゅーるの種類
病院用ちゅーるは大きく分けて3種類あります。
- エネルギーちゅーる
- 低アレルゲンちゅーる
- 投薬用ちゅーる
エネルギーちゅーる
エネルギーちゅーるは栄養を効率よく取り入れることを目的としたちゅーるです。
種類は「低リン、低ナトリウム」「カロリー2倍」の2種類があります。
「低リン、低ナトリウム」のエネルギーちゅーるではリンが約30%、ナトリウムが約65%少なくなっています。(いなばエネルギーちゅーるとりささみ比)
「カロリー2倍」のちゅーるは高齢で食欲が落ちた子やお腹が弱くてたくさん食べられない子などで、効率よくエネルギーを摂ることができます。
病院用と市販用の違い
市販用に似たような商品の「エナジーちゅーる」があります。
手軽に買えるなら市販用でいいんじゃないの?と思ってしまいませんか?
病院用のエネルギーちゅーると市販用のエナジーちゅーるを比較してみます。
【病院用】 エネルギーちゅーる 低リン、低ナトリウム | 【病院用】 エネルギーちゅーる カロリー2倍 | 【市販用】 エナジーちゅーる とりささみ | |
---|---|---|---|
たんぱく質 | 8.0%以上 | 8.0%以上 | 7.5%以上 |
脂質 | 4.0%以上 | 4.0%以上 | 6.0%以上 |
租繊維 | 0.2%以下 | 0.2%以下 | 0.5%以下 |
灰分 | 1.0%以下 | 2.1%以下 | 2.0%以下 |
水分 | 87.0%以下 | 85.0%以下 | 84.0%以下 |
エネルギー | 約13kcal/本 | 約13kcal/本 | 約16kcal/本 |
価格 | 約90円/本 | 約90円/本 | 約60円/本 |
病院用エネルギーちゅーるの2種類はほとんど同じ組成です。
リンとナトリウムの量が違うため「低リン、ナトリウム」のちゅーるでは灰分が低くなっています。
市販用エナジーちゅーると病院用エネルギーちゅーるの違いは大きく分けて3つ。
病院用と市販用の違い
- 市販用エナジーちゅーる → たんぱく質 < 脂肪
病院用エネルギーちゅーる → 脂肪 > たんぱく質 - 病院用エネルギーちゅーるには乳酸菌が入っている
市販用のエナジーちゅーるは病院用に比べてたんぱく質が低く脂肪が高くなっています。
市販用の方がカロリーが高いのは脂肪が多く入っているから。
脂肪はカロリーを効率よく摂ることができますが、体を作るためにはたんぱく質が大事になってきます。
たんぱく質が多く入っている病院用ちゅーるの方が体のためにはいいですね。
配合されている成分を見ると、病院用のちゅーるには乳酸菌が1000億個含まれていて腸内環境に配慮されています。
また、どのちゅーるにもイミダゾールジペプチドが配合されています。
イミダゾールジペプチドは疲労回復や老化防止に役立ち、人の食品やサプリメントでも使われている成分です。
参考:イミダゾールジペプチド いなばペットフード株式会社
腎臓が悪い子でも食べられる?
腎臓が悪い子ではリンやナトリウムの摂取量が制限されます。
食事の制限のある子でもちゅーるを食べていいのか気になりますよね。
「低リン、低ナトリウム」のエネルギーちゅーるではリンが約30%、ナトリウムが約65%少なくなっています。(いなばエネルギーちゅーるとりささみ比)
それでも腎臓病の子が食べてもいいのか、ほかの腎臓病療法食と比較してみました。
エネルギーちゅーる | ロイヤルカナン 腎臓サポート | ヒルズ k/d | |
---|---|---|---|
リン | 0.12% | 0.11% | 0.06% |
ナトリウム | 0.08% | 0.17% | 0.04% |
エネルギー (100gあたり) | 93kcal | 166kcal | 101kcal |
たんぱく質 | 8.0%以上 | 3.4%以上 | 2.5%以上 |
脂質 | 4.0%以上 | 7.0%以上 | 4.0%以上 |
粗繊維 | 0.2%以下 | 2.0%以下 | 2.0%以下 |
灰分 | 1.0%以下 | 1.9%以下 | 2.0%以下 |
水分 | 87.0%以下 | 69.0%以下 | 83.0%以下 |
この表からも分かるようにエネルギーちゅーるのリンは腎臓サポートとほぼ同じ、ナトリウムは低くなっていました。
低リン・低ナトリウムのちゅーるは腎臓が悪い子でもおやつに食べれます。
ただ、腎臓病だとたんぱく質の摂取も腎臓の負担となります。ちゅーるはたんぱく質が高めなのでたくさん食べるのはNGです。おやつに少しあげたり、食欲がない時にトッピングするのがいいですね。
ごはんを全く食べてくれないのは危険なので、ちゅーるなら食べてくれるというときはこのちゅーるを活用してくださいね。
低アレルゲンちゅーる
犬でアレルギーを起こしやすい食物は牛肉、乳製品、鶏肉、小麦です。
低アレルゲンちゅーるはアレルゲンとなる食べ物を使わないことでアレルギーのある子でも食べられるちゅーるになっています。
低アレルゲンちゅーるはメインの食材違いで3種類あります。
- ラム
- ターキー
- カンガルー
ラム、ターキーは総合栄養食でカンガルーはおやつです。
特に珍しいラム(羊)、ターキー(七面鳥)、カンガルーをメイン食材に使っています。
アレルゲンになりやすい穀類(大豆、じゃがいも、小麦、トウモロコシ)は使っていません。
病院用と市販用の違い
食物アレルギーに配慮したちゅーるは市販用にもあります。
市販用のメイン食材はまぐろとラムです。
【病院用】 ラム | 【病院用】 カンガルー | 【市販用】 ラムサーモン入り | |
---|---|---|---|
たんぱく質 | 5.7%以上 | 7.0%以上 | 5.5%以上 |
脂質 | 6.8%以上 | 0.4%以上 | 3.5%以上 |
租繊維 | 1.0%以下 | 0.5%以下 | 0.5%以下 |
灰分 | 3.0%以下 | 0.7%以下 | 1.0%以下 |
水分 | 83.5%以下 | 91.0%以下 | 89.0%以下 |
エネルギー | 約14kcal/本 | 約8kcal/本 | 約11kcal/本 |
価格 | 約100円/本 | 約170円/本 | 約60円/本 |
病院用低アレルゲンちゅーるの「ラム」は総合栄養食のため、栄養素が基準を満たすように調整されています。
ビタミン類やミネラル類が多く入っているため灰分がかなり高くなっています。
「カンガルー」はペットフードではあまり使われていないためアレルギーを起こす可能性が低いです。
脂肪が少ないお肉のためたんぱく質が高く脂質がかなり低くなっています。
ただ、珍しいお肉で価格が少し高めなのが気になります。
病院用と市販用の違い
- 病院用低アレルゲンちゅーるは入っていない原材料が明確
- 珍しい「カンガルー」をメインに使っている
病院用と市販用の大きな違いは病院用には入っていない穀物が具体的に書かれていることです。
病院用にはパッケージに「大豆、じゃがいも、小麦、トウモロコシ」が入っていないと書かれていますが、市販用は「グレインフリー」となっています。
ペットフードで"グレイン"とは一般的に「米、小麦、大麦、トウモロコシ」など、原材料としてよく使われるイネ科を指していることが多く、マメ科の穀類は含まれていないことがほとんどです。
どの穀物が"グレイン"として含まれているかは分からないため、アレルギーのある子では少し不安が残ります。
配合されている成分を見ると食物アレルギー対応のちゅーるにはどれもβグルカンが配合されていました。
βグルカンは腸内の免疫細胞に働きかけ免疫を高める作用のある食物繊維です。
身近な食材ではきのこに多く含まれていますね。
ガン治療をしている犬でβグルカンを摂取すると免疫細胞が活性化し、治療の副作用が抑制されたり再発転移が抑制される効果があるという研究もあります。
参考:がんに罹患した犬の免疫応答とβグルカン含有サプリメント
投薬用ちゅーる
投薬用ちゅーるは薬をあげるときに便利なちゅーるです。
市販用に似たタイプのちゅーるはありません。
普通のちゅーるも投薬に使えますが、投薬用ちゅーるは粘り気が違います。
通常のちゅーるの3倍も粘り気が強く、薬が包みやすくなっています。
原材料を見ると寒天が入っているので粘度が高いのは寒天によるもののようです。
お薬が苦手なわんちゃんも、おいしいちゅーるでストレスなく薬を飲むことができますよ。
病院用ちゅーるを買える場所
病院用ちゅーるは動物病院で買えます。
しかし、病院によっては種類が少なかったり取り扱っていないこともあります。
見当たらなかったら看護師さんに聞いてみましょう。
動物病院以外ではネット通販でも売っています。
動物病院専用なのでは…?と思いますが、近くの病院で取り扱っていない可能性を考えると確実に買えるのはありがたいですね。
ネット通販では動物病院で買うより少し安く買えますよ。
病院用ちゅーるの価格は1本90円〜100円ほどで、低アレルゲンちゅーるのカンガルーだけ1本170円ほどになります。
一方、市販用のちゅーるは50〜100円。
安いものから病院用と同じくらいの値段のものまで幅があります。
食物アレルギーに配慮したちゅーるは他と違う原材料を使っているためか少し高めでした。
全体的に見れば市販用のちゅーるの方が手軽に買えますが、ネット通販を利用すれば、動物病院専用ちゅーるも手が届きやすくなります。
病院用と市販用ちゅーるの違いのまとめ
病院用ちゅーるの種類
- エネルギーちゅーる
「低リン、低ナトリウム」「カロリー2倍」 - 低アレルゲンちゅーる
「ラム」「ターキー」「カンガルー」 - 投薬用ちゅーる
動物病院用のちゅーるは市販のちゅーるに比べると、より効率よくエネルギー補給ができたり、アレルギーに配慮しているちゅーるでした。
持病があったりアレルギーのあるわんちゃんが安心して食べられます。
投薬用ちゅーるは投薬が苦手なわんちゃんにはもってこいのちゅーる。
ストレスが少なくなるので、お薬で困っていたらおすすめです。
気になるちゅーるがあったらぜひ試してみてください。